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マウスピース矯正

インビザラインで過蓋咬合は治る?症例を交えて限界とリスクを解説

こんにちは。スマイルアクセス矯正歯科の院長、吉住淳です。

前歯で噛み切れない
下の前歯が見えないくらい深く噛んでいる

このようなお悩みをお持ちで、「インビザラインで治せますか?」とご相談いただくことが増えています。

結論からお伝えすると、現在では多くの過蓋咬合をインビザラインで改善できるようになっています。

かつては「過蓋咬合はマウスピースでは難しい」と言われていました。
しかし、今ではインビザラインの技術進化(奥歯の挺出や歯のコントロール精度の向上など)により、治療の幅が大きく広がりました

とはいえ、すべてのケースに適しているわけではないです。

ワイヤー矯正を選んだ方が、見た目の仕上がりや噛み合わせの安定性、後戻りのリスク低減につながるケースも一定数あります。

実際、当院でも患者さんの状態によって、インビザライン単独で1年で改善した方もいれば、より確実性を重視してワイヤー矯正を選んだ方もいらっしゃいます。

大切なのは「どの装置を使うか」ではなく、「あなたの過蓋咬合に最適な方法は何か」を見極めることです。

この記事では、これまでに1,000件以上のインビザライン治療に携わり、公式スピーカーとして全国の歯科医師を指導してきた立場から、

・インビザラインで治療できる過蓋咬合の見分け方
・注意が必要な過蓋咬合のタイプ
・実際にインビザラインで改善した症例


これらを実際の治療例も交えながら、できるだけわかりやすく解説していきます。

インビザライン公式スピーカーとは?

インビザライン公式スピーカー(正式名称:クリニカルスピーカー)とは日本全国でも数少ない、インビザラインの指導的ドクターのことです。

インビザライン開発元のアライン・テクノロジー社から公式に認定を受け、全国の歯科医師に向けて専門的な技術指導や講演を行っています。

>>当院のマウスピース矯正(インビザライン含む)の詳しい料金ページ

インビザラインで「治せる過蓋咬合」「治しづらい過蓋咬合」の違い

過蓋咬合(かがいこうごう)は、医学的には「ディープバイト」とも呼ばれます。
上の前歯が下の前歯を深く覆い隠している状態を指します。

正常な噛み合わせでは、上の前歯が下の前歯を2〜3mm程度覆うのが理想的です。


過蓋咬合ではこれが4mm以上、重度では下の前歯が完全に隠れてしまうこともあります。


過蓋咬合の原因は前歯だけではありません。 実は奥歯の高さの異常も大きく関わっています。

奥歯が歯ぎしりで削れて低くなっていたりすると、噛み合わせ全体のバランスが崩れ、前歯が必要以上に深く噛み込んでしまうのです。

さらに、顎の骨格のズレや出っ歯傾向が複合的に絡むケースもあります。

この原因の違いによって、インビザラインで改善できるか、ワイヤー矯正の方が確実かが決まります。

インビザラインで改善しやすい過蓋咬合

①歯の高さ・角度が原因のタイプ(歯性過蓋咬合)

前歯が内側に傾いている、奥歯の高さに問題があるなど、歯の位置が主な原因の場合。

最新のインビザラインでは「バイトランプ」という特殊な突起により、噛む力を利用して前歯の深い噛み込みを改善できます。

 

これにより歯列全体を広げながら、前歯の過剰な重なりを改善できるようになりました。

実際に当院では、1年で大幅に改善した症例もあります。

30代男性|過蓋咬合・叢生(非抜歯・マウスピース矯正)/1年・783,750円(税込)リスク:痛み、後戻りなど(自由診療)

②軽度の骨格性過蓋咬合

骨格のズレが小さい場合も、インビザライン単独、またはアンカースクリュー(直径1-2mmの小さな固定用ネジ)を併用することで対応可能です。

>>アンカースクリューを使った矯正治療とは?費用・効果・リスクを矯正医が解説

③歯ぎしりによる奥歯のすり減りタイプ

症例によっては奥歯の高さを補綴治療で回復させてから、インビザラインで噛み合わせを整えることで改善できます。

ワイヤー矯正を選ぶべき過蓋咬合

①重度の骨格性過蓋咬合

下顎が極端に後退しているなど、骨格に大きなズレがある場合は、インビザラインでは限界があります。

②Angle II級2類(隠れ出っ歯タイプ)

骨格は出っ歯傾向なのに、前歯が内側に倒れ込んで深い噛み合わせになっている複雑なタイプ。
これを専門用語で 「Angle Ⅱ級2類」 と言います。

このタイプは歯の根の角度を精密にコントロールする必要があるため、ワイヤー矯正の方が確実で安定した結果を得られることが多いです。

最新のインビザライン技術で、このⅡ級2類のかみ合わせの症例でも治せる幅は広がっています。
しかし、重度の場合はワイヤー矯正を選択することが多いです。

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骨格のズレが大きい場合や、歯の根の角度まで精密にコントロールする必要がある場合は、やはりワイヤー矯正の方が安定した結果につながります。

大切なのは、正確な診断に基づき治療法を選ぶことです。

実際の症例:インビザラインで過蓋咬合(ディープバイト)を改善した例

過蓋咬合・叢生 30代女性|抜歯+インビザラインで改善(2年1か月・864,000円)

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前歯の重なりと噛み合わせの深さを気にされてご相談いただきました。叢生を伴う過蓋咬合と診断し、前歯部のスペース不足に対応するため抜歯を選択。

奥歯の高さと前歯の角度を調整しながら、インビザラインで咬合をコントロールしました。

2年1か月の治療を経て、歯列が整い噛み込みも自然に。過蓋咬合では噛む力のかかり方も考慮し、見た目だけでなく機能性も重視した設計が大切です。

過蓋咬合・叢生 30代男性|非抜歯+インビザラインで改善(1年・783,750円)

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噛み合わせの深さと歯並びのデコボコ感を気にされて来院されました。

診断では、叢生を伴う過蓋咬合と判断。咬合の深さを改善しながら歯列の並びを整えるため、非抜歯でのマウスピース矯正を選択しました。前歯の被蓋を浅くすることで、顎の動きや発音のしやすさも向上。

1年という短期間で、見た目の印象と機能のバランスが取れた咬合へと導くことができました。深いかみ合わせでも丁寧な設計でマウスピースでもしっかりと治せます。

ワイヤー矯正を選択した過蓋咬合の症例

過蓋咬合 10代女性|抜歯+ワイヤー矯正で治療(2年2か月・880,000円)

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上の前歯が内側に傾いており、噛み合わせが深く、加えて出っ歯の傾向もみられる──

このような咬合状態は、専門的には「Angle分類 2級2類*」に該当する複雑なタイプです。 見た目以上に診断・治療の難易度が高く、歯の根の角度や向きを繊細に調整する必要があります。

こうしたケースでは、歯根のコントロールが不得意とされるマウスピース矯正は対応に限界があることも少なくありません。

もちろん、装置の工夫や治療計画を工夫することで、インビザラインで進められる場合もありますが、治療期間が長引いたり、理想的な仕上がりに届きにくいリスクも伴います。

今回はその点をふまえ、治療の精度と再現性を重視し、マルチブラケット装置(ワイヤー矯正)による治療を選択しました。


※下顎が後ろにあり、上の前歯が内側に傾いているタイプ

過蓋咬合 20代女性|抜歯+ワイヤー矯正で改善(2年5か月・810,000円)

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前歯のデコボコと噛み合わせの深さを気にされてご相談いただきました。

歯が重なって並ぶ叢生と、下の歯が見えにくくなるほど噛み込みが深い過蓋咬合を伴う症例で、抜歯によるスペース確保と細かなかみ合わせ調整が必要でした。

ワイヤー矯正で前歯の角度と高さを丁寧に整え、2年5か月で噛み合わせと歯列のバランスが安定。口元の緊張がやわらぎ、見た目にも自然な印象になりました。

\口元の変化を写真で見る/

インビザラインなら非抜歯で治せるって本当?

「過蓋咬合にインビザラインを考えています。抜歯は必要ですか?」 こうしたご相談をよくいただきます。

抜歯矯正はすべての人に必要なわけではありません。 私たち矯正医も、可能な限り歯を残したいと考えています。

ただし、過蓋咬合は他の不正咬合より抜歯が必要になるケースがやや多いのも事実です。

過蓋咬合で抜歯が検討される主な理由

①スペース不足が複合しやすい

過蓋咬合は「深い噛み合わせ」に加えて、叢生(ガタガタ)や前歯の前突など、他の歯並びの問題を併発することもあります。

この場合は歯を並べるためのスペースが不足していますので、
抜歯で余裕をつくる方が理想的な位置に歯を配列できます。

②「隠れ出っ歯」を伴うケースが多い

実は、過蓋咬合(深い噛み合わせ)の方の中には、骨格はやや出っ歯傾向でありながら、前歯が内側に倒れ込んでいるタイプも少なくありません。

このタイプを非抜歯で整えようとすると、歯が並ぶ場所が足りないため、歯列全体が少し前に広がるように動いてしまうことがあります。

その結果、前歯や唇が押し出されて、口元の突出感やガミースマイルが目立ちやすくなることがあります。

口元のバランスを自然に整えるためには、前歯の角度を適切に起こし、必要に応じて後方へ移動させることが大切です。
そのためのスペースを確保する目的で、抜歯を検討するケースもあります。

③噛み合わせの安定性を高めるため

無理に非抜歯で整えると、上下の歯の噛み合わせが浅くなったり、接触がずれて不安定になりやすくなります。

その結果、治療後にまた深く噛み込む「後戻り」が起きるリスクが高まります。

抜歯でスペースを確保することで、より安定した噛み合わせが得られる場合があります。

非抜歯で対応できるケースも

骨格や歯列の条件が整っていれば、インビザラインで非抜歯治療も可能です。

ただし、無理に非抜歯にこだわると

  • 口元の突出感が残る
  • 噛み合わせが改善しきらない
  • 後戻りしやすい

といったリスクがあります。

正確な判断には精密検査が必須

抜歯の要否はレントゲン・CT・模型分析で初めて正確に判断できます。

「歯を抜きたくない」という希望は必ず事前にお伝えください。

可能な限り非抜歯での治療を検討し、もし抜歯が必要な場合は、その理由とメリットを丁寧にご説明します。

過蓋咬合(ディープバイト)治療の費用・期間は?

過蓋咬合の改善には、単に歯並びを整えるだけでなく、噛み合わせの高さ(咬合高径)や顎の位置関係をコントロールする必要があります。

そのため、前歯だけを動かす部分矯正では根本的な改善はできません。かえって噛み合わせが深くなったり、治療後に後戻りしやすくなるため、基本的には全顎矯正が必要です。

相場費用・目安期間

過蓋咬合の改善は、歯並びだけでなく噛み合わせの高さ(咬合高径)や顎の位置関係を整える必要があります。

そのため、部分矯正(前歯だけの矯正)では根本的な改善はできません

前歯だけを動かすと、かえって噛み合わせが深くなったり、後戻りのリスクが高まるため、基本的には全顎矯正が適応となります。

治療方法期間目安費用相場
マウスピース矯正(インビザライン)1.5〜3年80〜110万円
ワイヤー矯正1.5〜3年80〜120万円

以下では、当院スマイルアクセス矯正歯科の料金表も参考までに掲載いたします。

当院スマイルアクセス矯正歯科の料金

ワイヤー矯正料金

スマイルアクセス矯正では、白いワイヤーや透明のブラケットなど目立ちにくい装置もご用意しています。
「目立たないなら始めやすい」と、見た目を気にされていた方にも好評です。

費用(税込)
部分矯正¥165,000〜495,000
全体矯正(メタルブラケット)¥880,000
全体矯正(クリアブラケット)¥935,000

マウスピース矯正料金

院内で設計するコストを抑えた【独自アライナー】から、世界1,500万件を超える実績をもつ【インビザライン】まで、症例やご希望に合わせて、最適なプランをご提案します。

費用(税込)
スマイルアクセス・アライナー(6前歯のみの部分矯正〜臼歯部を含む部分矯正)¥385,000〜¥550,000
インビザライン(全体矯正)¥935,000

追加費用が発生しないトータルフィー制度&分割払いも可能

当院では、治療開始前に治療の総額を提示する「トータルフィー制度(治療費総額制)」を採用しております。

上記料金には、毎月の調整料、治療後の保定装置(リテーナー)の費用もすべて含まれています。

治療期間が予定より延長した場合でも、追加の費用は発生しませんのでご安心ください。

分割払いやデンタルローンにも対応していますので、費用面のご不安もお気軽にご相談ください。

相談だけOK。無理な勧誘一切なし

インビザライン×過蓋咬合のよくある質問に矯正医が回答します(FAQ)

Q1. インビザラインで過蓋咬合は本当に治せますか?

A. 軽度〜中等度の過蓋咬合であれば、インビザラインで十分改善できます。

最新のバイトランプ機能やアンカースクリュー併用により、以前は困難だった症例にも対応可能になりました。

ただし、重度の骨格性過蓋咬合やAngle II級2類(前歯が内側に倒れ込んでいるタイプ)は、歯根の精密なコントロールが必要なため、ワイヤー矯正の方が確実です。

Q2. 過蓋咬合の治療に抜歯は必要ですか?

A. 必ず抜歯というわけではありません。私たちもできる限り歯を残したいと考えています。

ただ、過蓋咬合は叢生や出っ歯を伴うことが多く、十分なスペースがないケースでは抜歯が有効な選択肢になります。無理に非抜歯にこだわると、口元が突出したまま残ったり、後戻りしやすくなったりすることもあるため、長期的な安定性を考慮して判断します。

Q3. インビザラインで過蓋咬合を治すのにどれくらいかかりますか?

A. 一般的に1.5〜3年程度が目安です。

軽度で非抜歯なら1年程度で改善することもありますが、抜歯を伴う場合や複雑な症例では2〜3年かかることもあります。なお、過蓋咬合は部分矯正では根本改善できないため、全顎矯正が必要です。

Q4. インビザラインとワイヤー矯正、どちらを選ぶべきですか?

A. それぞれに得意分野があります。

インビザラインは見た目を気にされる方には最適ですし、歯の高さや角度が主な原因なら十分対応できます。一方、骨格のズレが大きい場合や歯根の精密なコントロールが必要な場合は、ワイヤー矯正の方が安定した結果を得やすいです。

精密検査の結果を見て、あなたの過蓋咬合に最適な方法をご提案します。

Q5. 治療後に後戻りすることはありますか?

A. 残念ながら過蓋咬合は後戻りしやすい不正咬合の一つです。

特に無理な非抜歯治療や、原因を十分に改善できていない場合はリスクが高まります。そのため、適切な治療計画と、治療後のリテーナー(保定装置)の正しい使用が重要です。当院では後戻りを防ぐためのアフターケアまでしっかりサポートしています。

まとめ

インビザラインの最新技術により過蓋咬合の治療をできるケースは増えました。

ただし、骨格のズレが大きい場合や歯根の精密な調整が必要な場合は、ワイヤー矯正の方が安定した結果を得やすいのも事実です。

「インビザラインかワイヤーか」で悩む前に、あなたの過蓋咬合の原因を知ることが重要です。

歯の高さが原因ならインビザラインで十分。骨格的要因が強ければワイヤー矯正が有利。複合的な問題なら併用も選択肢になります。

原因に合った方法を選べば、どちらでも良い結果は得られます。

見た目では判断できません。精密検査で奥歯の高さ、顎の位置、歯根の角度を確認して初めて、最適な治療法が見えてきます。

当院では両方の装置を扱うため、偏りのない提案が可能です。「できればインビザラインで」というご希望があれば、その範囲でどこまでできるか、限界がある場合の工夫も含めてお話しします。

まずは現状を正確に知ることから。治療するかどうかは、その後ゆっくり考えていただければ大丈夫です。

無料で矯正相談実施中スマイルアクセス矯正歯科では、来院・オンラインどちらのカウンセリングも無料でご案内しています。

こんなこと聞いて大丈夫かな?」と思うようなことも、どうぞ気兼ねなくご相談ください。

矯正にまつわる不安や疑問には、矯正医が丁寧にお答えします。

もちろん、カウンセリングを受けたからといって、すぐに治療を始める必要はありません。
ご説明を聞いた上で、じっくりご検討いただければと思います。

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