「調べれば調べるほど、わからなくなってしまいました・・・」
このような患者さんの声をお聞きするたび、矯正治療って本当に難しい買い物だなと思います。
矯正医の私が言うのも変ですが、そう思われるのは無理はないと思うのです。
・マウスピース矯正とワイヤー矯正、どちらがいいのか。
・抜歯は必要なのか、避けられるのか。
・費用や期間はどのくらいが妥当なのか。
患者さんにとっては、わからないことだらけだと思います。
そして何より、矯正は「試せない」。
車なら試乗できます。服なら試着できます。
でも矯正は、試せません。失敗もできないです。
だからこそこの記事では、ネットの情報だけでは判断しづらいことを矯正医の立場から、できるだけ率直にお伝えしようと思います。
あなたにとって「納得できる選択」のヒントが、このページで見つかれば幸いです。
マウスピースとワイヤー、どっちがいい？
「マウスピースとワイヤー、どっちがいいんですか？」
この質問に対する答えは、実は人それぞれ異なります。
なぜなら、両者には明確な特性の違いがあり、患者さんの歯並びの状態、ライフスタイル、治療目標によって最適な選択が変わるからです。
装置から選ぶリスク
多くの方が目立たないこと、そして手軽さに魅力を感じてマウスピースを希望されます。
それ自体は自然なことだと思います。
しかし、これが思わぬ結果を招くこともあります。
例えば、大幅な歯の移動が必要なのにマウスピースを選んだ結果、治療期間が予想以上に長引いたり、仕上がりが不十分になるケースもあります。
逆に、軽度の歯並びでマウスピースでも十分な効果が期待できたのに、 ワイヤー矯正を選んだ結果、審美面で想定以上の負担を感じるケースもあります。
マウスピース矯正とワイヤー矯正にはそれぞれ特性があります。
| マウスピース矯正（インビザライン） | ワイヤー矯正 | |
|---|---|---|
| 得意な動き | ・歯列全体を広げる ・奥歯を後方へ移動 | ・歯を大きく移動 ・精密に移動 |
| 最適なケース | ・軽〜中等度の改善 | ・大幅な改善が必要 |
| 見た目 | ◎ 透明で目立たない | △ 金属が見える |
| 快適さ | ◎ 取り外し可能で衛生的 | △ 固定式で違和感が出やすい |
マウスピース矯正の特性
透明な樹脂製の装置で歯列全体を包み込み、段階的に形を変えながら歯を移動させます。
歯列の拡大や奥歯の後方移動といった動きが得意で、痛みが比較的少ないのが特徴です。
実際、当院だと患者さんのうち8割がマウスピース矯正で治療を受けており、
「思ったより快適だった」「仕事に支障がなかった」といった声をよく聞きます。
特に20〜40代の働く世代には、見た目の問題がクリアできる点が大きなメリットとなっています。
ワイヤー矯正の特性
歯に接着したブラケットとワイヤーによって、個々の歯を三次元的にコントロールできます。
複雑な歯の移動や精密な調整が可能で、あらゆる不正咬合に対応できる汎用性があります。
特に抜歯が必要な症例や、歯を大きく移動させる必要がある場合は、ワイヤー矯正の確実性と効率性が際立ちます。
装置選択のための3つのポイント
①治療精度とコントロール力
マウスピース矯正は、最初に立てた治療計画をもとに、段階的に形状を変えたアライナー（透明なマウスピース）を順番に装着していく方式です。
治療の全体像をあらかじめ把握しやすく、何より目立たないという審美性の高さが大きなメリット。
軽度〜中等度の叢生や前歯の位置調整には非常に有効な治療法です。
実際、当院の患者さんの8割はマウスピース矯正で治療を受けています。
ただし、歯根の細かな調整や咬合の繊細な最終仕上げには、ケースによって限界が出る場合もあります。
一方、ワイヤー矯正は歯に直接ブラケットを装着し、都度ワイヤーの力を加えていく「調整型」の治療です。
歯を立体的に動かす繊細なコントロールが可能なため、仕上がりの精度が求められるケースでは有利になることがあります。
②対応できる症例範囲
マウスピース矯正は一般的に軽〜中等度の歯列不正に適しています。
特にマウスピース矯正ブランド最大手のインビザラインは技術進歩が著しく、奥歯の移動や深い噛み合わせにも対応可能になってきました。
ただし、それでも歯並びによってはマウスピース矯正だと治療が難しいケースもあります。
ワイヤー矯正は、その力の伝達効率と制御力により、ほぼすべての症例に対応可能です。
特に重度の出っ歯・受け口・叢生（ガタガタ）・開咬などの複雑な症例では、ワイヤー矯正が第一選択となります。
＞＞インビザラインの得意・不得意を矯正医が徹底解説
③治療の柔軟性と自己管理
マウスピース矯正は、
・痛みが少なく装着感が良い
・目立たない
・いつも通り歯磨きができる
などの多大なメリットがあります。
実際、当院の患者さんからも「思った以上に快適でした！」との声をよく聞きます。
一方で、1日20〜22時間の装着が必要で、患者さんご自身での管理が治療成功の鍵となります。
装着時間が不足すると、治療期間が延びたり、計画通りに進まないリスクがあります。
ワイヤー矯正は24時間固定装着のため、自己管理に左右されず確実に治療が進みます。
「サボってしまいそう」という方には、むしろワイヤーの方が適しているかもしれません。
ただし、食べかすが詰まりやすく専用の清掃器具が必要なこと、
マウスピース矯正と比較して痛みを感じやすいことは理解しておく必要があります。
どちらを選ぶにしても、メリット・デメリットを理解した上で、自分のライフスタイルに合った方法を選ぶことが大切です。
▶ マウスピース矯正の費用・期間・適応・ワイヤーとの違いを矯正医が解説
なぜ矯正で抜歯が必要になるのか？矯正医の本音をお伝えします
「できれば歯は抜きたくない。でも仕上がりを考えると抜いた方がいいんですか？」
このご質問も、本当に多くいただきます。
そしてその度に、患者さんが抱えておられる葛藤が伝わってきます。
矯正医としての本音を申し上げると、私たちも「健康な歯はできる限り残したい」と考えています。
ただし診断の結果、「抜歯をした方が明らかに良い結果が得られる」と判断される場合は、抜歯をご提案することがあります。
抜歯の本質は「適切なスペースの確保」
歯を正しく並べるには、適切なスペースが必要です。
実は、歯列の乱れはほとんどが「スペース不足」から起きています。
顎のサイズに対して歯が大きすぎたり、本数が多すぎると、こんな問題が起こります。
・歯が重なり合ってガタガタになる（叢生）
・前歯が押し出されて口元が前突する（口ゴボ）
・出っ歯や受け口などの前後的なズレが生じる
このような状態で無理に非抜歯で並べようとすると、どうなるでしょうか？
結局スペースが足りず、歯列全体が前方に押し出されてしまいます。
口元の見た目が悪くなったり、将来的に後戻りしやすくなることもあります。
では、抜歯すればどうなるか？
以下の歯の動きを参考にしていただければ。
抜歯でスペースができて前歯が大きく下がっているのがわかるかと思います。
ちなみに抜歯矯正では多くの場合、前から4番目の歯である「第一小臼歯」を抜歯します。
この歯が選ばれる理由は、前歯を後退させるのにちょうど良い位置にあり、かつ噛み合わせへの影響が比較的少ないからです。
抜歯と聞くと不安になる方も多いですが、局所麻酔をしっかり効かせれば処置中の痛みはほとんど感じません。
また、小臼歯は根が単純な形をしているため、抜歯自体もスムーズに行えることが多いです。
抜歯矯正と非抜歯矯正の比較
| 抜歯矯正 | 非抜歯矯正 | |
|---|---|---|
| 目的 | 前歯をしっかり引っ込めたい／口元の突出感を改善したい | 歯は残したまま、噛み合わせや見た目を整えたい |
| スペースの作り方 | 小臼歯などの歯を抜いてスペースを確保 | 奥歯の後方移動／歯列の拡大／歯間を削る、などでスペース確保 |
| 適している症例 | 出っ歯・口ゴボ・重度の叢生など「明らかにスペース不足」な症例 | 軽度〜中度の叢生／前歯の突出が強くないケース |
| 見た目の変化 | 横顔の印象が大きく変化（Eラインに近づく） | 自然な変化／口元のボリューム感は比較的維持 |
| 治療の難易度 | 歯の移動距離が大きくなる／アンカースクリュー等併用も | 精密な設計が必要／後戻りリスクに注意 |
| 治療期間の傾向 | やや長くなる傾向あり（1年半〜3年） | 症例によっては短めになることも |
矯正治療は「抜歯の有無」によって、治療設計が大きく異なります。
どちらの方法にもメリットと限界があります。だからこそ、精密検査による正確な診断が不可欠なのです。
マウスピース矯正なら非抜歯でできる？
「マウスピースなら非抜歯で矯正できますよね？」
このようなご相談をよくいただきますが、実はこれは誤解です。
抜歯の有無と装置の選択は密接に関連していますが、イコールではありません。
それぞれの装置には「得意な動き」があり、症例に応じて最適な選択が変わるのです。
詳しく話していきます。
抜歯矯正の場合
抜歯によって生じる大きなスペースを閉じるには、歯を平行に長距離移動させる必要があります。
この動きはとりわけワイヤー矯正が得意としています。
特に重度の出っ歯や口ゴボの改善には、高い確実性を発揮します。
一方でマウスピース矯正（中でもインビザライン）も、近年の技術進歩により抜歯症例への対応力は向上しています。
ただし、歯の移動量が大きい場合は治療期間が長くなる傾向があるため、慎重な判断が必要です。
非抜歯矯正の場合
非抜歯の場合、奥歯を後方に移動（遠心移動）させたり、歯列を側方に拡大することでスペースを作ります。
この奥歯の遠心移動はマウスピース矯正が特に得意とする動きです。
遠心移動とは以下のような歯の動かし方になります。
ここまででマウスピースの特性をご説明させていただきましたが、
重要な誤解を解いておく必要があります。
「マウスピース＝非抜歯」「ワイヤー＝抜歯」という単純な図式は正しくありません。
ワイヤー矯正でも非抜歯治療は十分可能です。
むしろ、歯の傾きを精密に調整したり、捻れた歯を回転させたりする場合は、ワイヤーの三次元的なコントロール力が有利に働くこともあります。
コンビネーション治療という新しい選択肢
最近注目されているのが、両装置の強みを組み合わせた「コンビネーション治療」です。
例えば「前半はワイヤーで効率的に大きく動かし、後半はマウスピースで快適に仕上げる」といった治療計画。
このアプローチにより、より良い治療結果と患者さんの満足度向上を両立できるようになってきました。
抜歯・非抜歯の判断も、装置の選択も、画一的な答えはありません。
歯並びの状態、治療目標、ライフスタイルを総合的に評価し、最適な組み合わせを選択することが、満足度の高い治療につながります。
＞＞詳しくは「抜歯矯正で歯を抜く、抜かないの判断基準とは？矯正医が解説」で解説しています。
あなたの悩みに最適な治療法は？実際の症例でご紹介
「私の歯並び、マウスピースで治せる？」
「抜歯は必要なの？」
同じ悩みを持つ方がどんな治療を選んだのか、多数の実例を交えてご紹介します。
①出っ歯・口ゴボ
②叢生（ガタガタ）・八重歯
③受け口
④その他（過蓋咬合、開咬、すきっ歯）
①出っ歯・口ゴボ
40代男性｜出っ歯をマウスピース矯正（インビザライン）＋抜歯で改善（約1年1か月・836,000円）
上の前歯が出ている印象と、口元の突出感を気にされて来院されました。
骨格性の上顎前突により歯列が前方に位置しており、抜歯でスペースを確保しながらマウスピースで前歯全体を後退させる計画を立てました。
1年1か月という比較的短期間で、横顔のバランスと前歯の傾斜が大きく改善。自然に閉じられる口元へと変化しました。
20代女性｜口ゴボを伴う叢生をワイヤー矯正＋抜歯で改善（約2年5か月・842,400円）
前歯の出っ張りと口元の突出感を気にされてご相談いただきました。
前歯の前方傾斜が強く歯槽性の上下顎前突で、治療の途中で挙式もあったためブライダルに向けての治療も行いました。抜歯でスペースを確保し、ワイヤー装置で前歯の傾きをコントロールしながら、歯列全体を整えました。
2年5か月の治療で噛み合わせと口元が自然に調和し、表情全体が柔らかく見えるようになっています。
30代女性｜出っ歯をコンビネーション治療（ワイヤー＋マウスピース）＋抜歯で改善（約2年7か月・820,800円）
前歯で噛めないことと、口元の突出感を気にされて来院されました。開咬と叢生を伴う骨格性の上顎前突で、精密なコントロールが求められる難症例でした。
抜歯でスペースを確保し、ワイヤーとマウスピースを併用しながら前歯の角度やかみ合わせを調整。2年7か月の治療で、上下の噛み合わせが整い、横顔のラインも自然な印象に。複合的な症例ほど、柔軟な治療設計が重要になります。
＞＞口ゴボの一番良い治し方はどれ？原因と治療法を矯正医が解説
＞＞出っ歯（上顎前突）の一番良い治し方はどれ？原因と治療法を矯正医が解説
②叢生（ガタガタ）・八重歯
10代女性｜叢生（ガタガタ）をマウスピース矯正（インビザライン）・非抜歯で改善（約2年・880,000円）
ガタガタした歯並びが気になるとのことでご相談いただきました。
歯が並ぶスペースが不足していたため、全体のバランスを見ながら非抜歯での対応を計画しました。インビザラインで歯の傾きや位置を少しずつ整え、2年かけて前歯のデコボコが改善。
仕上がりも自然で、歯並びが整ったことで表情にも明るさが増した印象です。非抜歯でも十分なスペースが確保できるかどうかを丁寧に診断することが大切です。
10代女性｜叢生と出っ歯をワイヤー矯正＋抜歯で改善（約3年8か月・836,000円）
前歯の突出感と歯並びのガタつきを気にされてご相談いただきました。
上下の前歯がともに前方へ傾き、叢生を伴う歯性の前突が見られる症例で、抜歯を伴うワイヤー矯正を適応しています。歯の傾斜や位置を丁寧に整え、3年8か月かけて噛み合わせと歯列のバランスを調整。笑顔が自然で、口元にすっきりとした印象が生まれました。
ただ抜歯をして並べるだけではなく、口元や笑顔の感じも踏まえると、診断の精度が鍵となります。
30代男性｜口ゴボをコンビネーション治療（ワイヤー＋マウスピース）・非抜歯で改善（約1年7か月・825,000円）
口元のふくらみと前歯のガタつきを気にされて来院されました。
叢生を伴う歯槽性の上下顎前突と診断し、非抜歯での改善を計画。歯の傾きとアーチの広がりに注目し、ワイヤーとマウスピースを組み合わせて前方への突出感を丁寧にコントロールしました。1年7か月で歯列が整い、口元の厚みも自然な印象に。
骨格に大きなずれがない場合は、歯の角度と配置の調整で印象を大きく変えることができます。
＞＞叢生（ガタガタ・デコボコ）の一番良い治療法は何？矯正医が解説
③受け口
40代男性｜受け口をマウスピース矯正（インビザライン）＋抜歯で改善（約1年11か月・825,000円）
顎の左右差と受け口を気にされて来院されました。骨格性の下顎前突に加え、叢生と顔貌の非対称も見られる複雑な症例でした。
他院では手術しかないと言われ矯正を諦めていたそうですが、抜歯によってアーチを整理し、マウスピースで上下の位置関係と歯列全体を細かく調整。
1年11か月の治療で、噛み合わせが整い横顔の印象にも落ち着きが生まれました。
20代女性｜受け口をワイヤー矯正＋抜歯で改善（約2年10か月・1,008,000円）
歯の重なりと受け口のかみ合わせを気にされてご相談いただきました。もともと歯周病もあったため、そちらのコントロールをした上で、抜歯によるスペース確保と歯列全体の精密な調整が必要な難症例でした。
骨格的な受け口傾向が強い症例でしたが、ワイヤー装置で前歯の角度やかみ合わせを丁寧に整え、再設計も経て約2年10か月で自然な噛み合わせと横顔のラインに。
再治療を含めた細やかな調整が、納得のいく仕上がりにつながったケースです。
30代女性｜受け口をコンビネーション治療（ワイヤー＋マウスピース）・非抜歯で改善（約2年10か月・820,800円）
受け口による噛みづらさと見た目の印象を気にされてご相談いただきました。
診断の結果、骨格性の下顎前突が確認されましたが、外科的介入はご希望されず、非抜歯での矯正を選択。ワイヤーで土台を整えた後、マウスピースで前歯の噛み合わせと軸を微調整するコンビネーション矯正を行いました。
2年10か月かけて、咬合の安定と横顔の印象改善を両立。手術を伴わない方法でも、段階的なアプローチで変化を導けることがあります。
＞＞受け口の一番良い治し方は？手術なし・抜歯なしも可能？矯正医がすべて解説
④その他（過蓋咬合、開咬、すきっ歯）
30代男性｜過蓋咬合と叢生をマウスピース矯正（インビザライン）・非抜歯で改善（約1年・783,750円）
噛み合わせの深さと歯並びのデコボコ感を気にされて来院されました。
診断では、叢生を伴う過蓋咬合と判断。咬合の深さを改善しながら歯列の並びを整えるため、非抜歯でのマウスピース矯正を選択しました。前歯の被蓋を浅くすることで、顎の動きや発音のしやすさも向上。
1年という短期間で、見た目の印象と機能のバランスが取れた咬合へと導くことができました。深いかみ合わせでも丁寧な設計でマウスピースでもしっかりと治せます。
20代女性｜開咬をマウスピース矯正（インビザライン）・非抜歯で改善（約1年2か月・880,000円）
奥歯でしか噛めないことを気にされて来院されました。上下の前歯が噛み合わず、発音や咀嚼にも影響する開咬の症例でしたが、非抜歯での対応を計画。
インビザラインで奥歯の位置を整えながら、前歯を噛み合う位置へと導くように設計し、1年2か月で噛み合わせが安定しました。
開咬は生活の質にも関わるため、機能面と見た目の両方を丁寧に整えることが大切です。
60代女性｜叢生とすきっ歯をマウスピース矯正（インビザライン）＋抜歯で改善（約9か月・627,000円）
前歯の重なりが気になるとのことでご相談いただきました。
上下の歯の大きさのアンバランスを整えるために抜歯を選択。インビザラインで歯の角度と位置を計画的に整えていきました。9か月という比較的短い治療期間でしたが、丁寧な診断と適切な装着管理によって、前歯のデコボコが改善し、自然な口元に仕上がっています。
年齢にかかわらず、状態に合わせた設計と継続的な管理が結果につながります。
＞＞過蓋咬合（ディープバイト）の一番良い治し方とは？矯正医が解説
歯列矯正にかかる費用・期間・通院頻度｜治療法ごとの目安とスケジュール感を知る
矯正治療を検討するうえで、
「どれくらいかかるの？」
「どれくらい通うの？」
費用やスケジュール感は、誰にとっても気になるポイントでしょう。
以下はあくまで目安ですが、患者さんがご自身の状況をイメージしやすいよう、平均的なケースをもとにまとめました。
費用の相場（すべて自由診療／税込）
| 治療法 | 費用目安 | 期間目安 | |
|---|---|---|---|
| インビザライン（全体矯正） | 透明で目立たないマウスピース型。取り外し可能で、通院頻度が少ないのが特徴です。 | 約1.5〜2.5年 約80〜100万円 | |
| ワイヤー矯正（全体矯正） | 確実性が高く、複雑な症例にも対応可能。歴史が長く、実績豊富な治療法です。 | 約2〜3年 約80〜100万円 | |
| 部分矯正 | 前歯のみなど限定的な治療。短期間で終わりますが、適応症例は限られます。 | 約3ヶ月〜1年弱 約20〜50万円 |
あくまで上記の費用は一般的な目安です。症例の難易度や装置の種類によって変動します。
総額を左右する追加費用にご注意
矯正治療の総額は基本料金だけでは決まりません。
初診相談（0〜5,000円）、精密検査（3〜5万円）に加え、特に注意が必要なのが調整料です。
調整料は月1回の通院ごとに約5,000円かかるケースが多く、2年間の治療なら調整料だけで12万円になります。基本料金80万円でも、総額は100万円を超える計算です。
部分矯正と全体矯正の違い
「前歯だけサクッと治したい」という希望で来院される方は多いですが、実際に部分矯正だけで対応できる人は非常に限定的です。
違いを整理すると次の通りです。
| 部分矯正 | 全体矯正 | ||
|---|---|---|---|
| 治療範囲 | 前歯6〜8本など一部 | 上下28本すべて | |
| 費用・期間 | 約20〜50万円／3ヶ月〜1年弱 | 約80〜100万円／1.5〜3年 | |
| 適応症例 | 軽度のすきっ歯、軽度のガタつき、矯正後の後戻り | 中等度以上のガタつき、出っ歯・受け口、正中ズレ、噛み合わせ改善が必要なケース | |
| 噛み合わせ改善 | ✕ 不可 | ○ 可 |
つまり、
・部分矯正でできること
→前歯の傾きやねじれ、小さな隙間の閉鎖といった「微調整」。
・全体矯正でできること
→奥歯を後方に移動、歯列を拡大、抜歯スペースを活用し、歯を根元から動かし、噛み合わせや横顔バランスまで改善。
そして、「前歯だけ出ているから部分矯正で治る」と思われがちです。
しかし、実は多くの場合、奥歯や骨格に原因があるため全体矯正が必要です。
見た目が軽度でも、根本原因を無視すると後戻り・噛み合わせ不良につながるリスクがあります。
実際、部分矯正で治療したものの後戻りしてしまった方や噛み合わせが悪くなった方からの再治療のご相談を度々いただいています。
慎重に判断されることをおすすめします。
＞＞【最短3ヶ月で終わるってホント？】歯列矯正のリアルな期間を矯正医が解説
当院スマイルアクセス矯正歯科の料金
ワイヤー矯正料金
スマイルアクセス矯正では、白いワイヤーや透明のブラケットなど目立ちにくい装置もご用意しています。
「目立たないなら始めやすい」と、見た目を気にされていた方にも好評です。
| 費用（税込） | |
|---|---|
| 部分矯正 | ￥165,000〜495,000 |
| 全体矯正（メタルブラケット） | ¥880,000 |
| 全体矯正（クリアブラケット） | ¥935,000 |
マウスピース矯正料金
院内で設計するコストを抑えた【独自アライナー】から、世界1,500万件を超える実績をもつ【インビザライン】まで、症例やご希望に合わせて、最適なプランをご提案します。
| 費用（税込） | |
|---|---|
| スマイルアクセス・アライナー（6前歯のみの部分矯正〜臼歯部を含む部分矯正） | ¥385,000〜¥550,000 |
| インビザライン（全体矯正） | ¥935,000 |
追加費用が発生しないトータルフィー制度&分割払いも可能
当院では、治療開始前に治療の総額を提示する「トータルフィー制度（治療費総額制）」を採用しております。
上記料金には、毎月の調整料、治療後の保定装置（リテーナー）の費用もすべて含まれています。
治療期間が予定より延長した場合でも、追加の費用は発生しませんのでご安心ください。
分割払いやデンタルローンにも対応していますので、費用面のご不安もお気軽にご相談ください。
当院スマイルアクセス矯正歯科の通院頻度について
| 比較項目 | 一般的な矯正治療 | スマイルアクセス矯正歯科でのインビザライン治療 |
|---|---|---|
| 通院頻度 | 約1か月に1回の来院が必要 | 3〜6か月に1回の通院でOK |
| 管理体制 | 通院時に口腔内チェック | 専用アプリで日々の変化をチェック遠隔モニタリングシステム「Dental Monitoring」導入 |
| 忙しい方への配慮 | 来院中心の管理で柔軟性に欠けることも | 通院は最小限に、サポートはいつでも |
スマイルアクセス矯正歯科におけるインビザラインを使った治療には、遠隔モニタリングシステム「Dental Monitoring」を導入しています。
「通院回数を減らしながらも、治療の質は落とさない」ことを目指しています。
専用のスマホアプリを使って、ご自宅からお口の状態を記録・送信していただくことで、来院しなくても矯正医がチェック・指示できる体制を整えています。
「仕事や子育てでなかなか通えない…」という方でも安心して治療を継続できるのが、当院ならではの強みです。
＞＞遠隔モニタリングシステム「Dental Monitoring」とは
矯正治療の流れを6ステップで解説｜初診から保定までの全プロセス
矯正治療は大きく分けて、
「診断→治療→保定」の3段階に分かれます。一般的には以下の6ステップで進みます。
- カウンセリング
悩みや希望のヒアリング。治療法や料金の説明など。 - 精密検査
CT・セファロ・口腔内スキャンなどで歯と骨格を立体的に分析。 - 診断・治療計画の説明
抜歯の有無・期間・費用など治療計画の説明。 - 装置の装着・治療スタート
マウスピース or ワイヤーを装着し治療スタート。 - 通院による調整・確認
マウスピースは約1.5〜3か月に1回、ワイヤーは月1回が目安。
Dental Monitoring併用なら通院頻度はさらに軽減可能。 - 保定期間（後戻り防止）
歯並びを安定させるため、リテーナーを装着し経過を観察。
抜歯・親知らず・後戻り｜矯正治療でよくある質問まとめ
Q. 抜歯はしなきゃダメですか？
A. すべての方に必要なわけではありません。
抜歯は以下のような場合に検討されます。
・歯が並ぶスペースが極端に足りない（叢生）
・出っ歯や口ゴボで前歯を大きく引っ込めたい
・顎のズレなど骨格の不調和がある
無理に非抜歯で進めると、前歯が不自然に出てしまったり、歯ぐきが下がってしまうこともあるため、事前の精密検査が大切です。
＞＞抜歯矯正で歯を抜く、抜かないの判断基準とは？矯正医が解説
Q. 親知らずは抜くべき？
A. ケースによります。
よくある理由は：
・歯列の後戻りの原因になることがある
・隣の歯を押して歯並びに影響することがある
・虫歯や智歯周囲炎のリスクが高い
ただし、矯正治療であえて親知らずを活かすケースもあります。
一律に「抜くべき」とは限りません。
また、親知らずを抜いたからといって、矯正用のスペースが必ずできるとは限らない点にも注意が必要です。
＞＞矯正で親知らずの抜歯は絶対？抜く、抜かないの基準を矯正医が徹底解説
Q. 抜歯が必要かどうかはどう判断するの？
A. CTやセファロ（頭部X線）などの精密検査を行い、
・歯の位置や傾き
・骨格のバランス
・ゴールとする咬合や口元の状態
これらの診断をもとに、どの歯をどれだけ動かす必要があるのかを明確にします。
それに応じて抜歯の必要性や方法を慎重に判断していきます。
＞＞抜歯矯正で歯を抜く、抜かないの判断基準とは？矯正医が解説
Q. 矯正のリスクはありますか？
A. はい、代表的なものは以下です。
・後戻り
・歯ぐきが下がる（歯肉退縮）
・歯の根が吸収する（歯根吸収）
・歯の神経が失活する（歯髄充血）
・噛みにくさ、発音のしづらさ、痛み
これらのリスクの発生頻度は非常に少ないので、過度に心配する必要はありません。また、精密な診断・リテーナーの使用・セルフケアを徹底することでリスクは大幅に減らせます。
＞＞なぜ歯列矯正やらなきゃよかったと言われるのか？後悔しない、失敗の回避法
Q. 治療中の生活で気をつけることは？
以下に気をつけましょう。
食事：
・固いもの（せんべい・氷）、粘着性のあるもの（キャラメル）は装置の破損リスク
・色の濃い飲食物（カレー・ワイン・コーヒー）は着色の原因に
歯磨き：
・タフトブラシやフロススレッダーを併用
・歯科衛生士のブラッシング指導を受けると◎
痛み・発音：
・調整後の数日は違和感があることが多い
・装置に舌が当たることで一時的に発音がしづらくなることもありますが、次第に慣れます
まとめ：心から納得できる矯正治療を
矯正治療は、ただ歯を動かすだけではありません。
噛み合わせ、骨格のバランス、そして毎日のケアのしやすさまで考える──医療としての積み上げがあってこそ、納得のいく仕上がりが得られます。
「やってよかった」と思える矯正には、きちんとした診断と、あなたに合った治療計画が欠かせません。
もし、自分にどんな治療が合うのか知りたい、抜歯や費用、期間について専門家の話を聞きたい、という方は、まずは無料カウンセリングをご利用ください。
矯正は、比べて納得して選ぶことが大切です。無理に治療をすすめることはありませんので、ご安心ください。
無料で矯正相談実施中スマイルアクセス矯正歯科では、来院・オンラインどちらのカウンセリングも無料でご案内しています。
「こんなこと聞いて大丈夫かな？」と思うようなことも、どうぞ気兼ねなくご相談ください。
矯正にまつわる不安や疑問には、矯正医が丁寧にお答えします。
もちろん、カウンセリングを受けたからといって、すぐに治療を始める必要はありません。
ご説明を聞いた上で、じっくりご検討いただければと思います。
相談だけOK。無理な勧誘一切なし
「自分にどの治療法が合っているか知りたい」という方のために、以下の記事も参考にしてみてください。
