こんにちは。スマイルアクセス矯正歯科の院長、吉住淳です。
「口ゴボを治したいんですが、アンカースクリューは効果的ですか?」
こうしたご質問をとても多くいただきます。
結論からお伝えすると、確かにアンカースクリューは口ゴボ改善に用いられることが多い装置のひとつです。

当院でも症例に応じて使用しており、通常の矯正装置では難しい前歯の後退をサポートできる点で有用です。
ただし、アンカースクリューは効果的なものの、限界もあります。
本記事では、
- アンカースクリューとは何なのか?なぜ口ゴボに有効なの?
- アンカースクリューの限界について
- ワイヤー矯正とマウスピース矯正での使い分け
など、患者さんからよく質問される内容を中心に、矯正医の立場から正直にお答えしていきます。
アンカースクリューとは何なのか?なぜ口ゴボに有効なの?
口ゴボを治すには、前歯をしっかり後ろに下げることがポイントです。
しかし、通常の矯正では前歯を引っ張ろうとすると「奥歯まで一緒に前に動いてしまう」という問題があります。
イメージ的には「綱引き」に似ています。
前歯をロープで後ろに引っ張っても、支えとなる奥歯が一緒に動くと、本来下げたい前歯が思うように下がりません。
口ゴボ感が残ってしまうのです。

そこで役立つのが アンカースクリューです。

顎の骨に小さなチタン製のネジ(直径1.5〜2mm程度)を打ち込み、それを動かない支点(私たち矯正医は固定源と呼んでいます)として活用します。

この強力な固定源を得ることで、前歯だけを効率よく後ろに動かすことができ、口ゴボ改善が期待できるケースもあります。
【補足】アンカースクリューが不要な場合もあります
ただし、アンカースクリューがすべての方に必須ではないです。
例えば、
・抜歯だけで十分なスペースが確保できる場合
・歯並びのガタガタが強く、並べる過程で自然に前歯が後退する場合
・骨格的なズレが小さく、前歯の傾き調整だけで改善できる場合
このようなケースでは、アンカースクリューを使わなくても口ゴボをしっかり改善できることがあります。
重要なのは「アンカースクリューを使うかどうか」ではなく、その人の歯並びや骨格に最適な方法を選ぶことです。
マウスピース×アンカースクリューより、
ワイヤー×アンカースクリューの方が口ゴボは治りやすい?
「マウスピースとアンカースクリューだときれいにならないですか?」
「やっぱりワイヤーの方が良いのでしょうか?」
こうしたご相談をよく受けます。
ワイヤー矯正の強み
確かに、ワイヤー矯正は大きな動きに強いのが特徴です。
歯に取り付けたブラケットでしっかり把持し、三次元的にダイナミックな動きをコントロールできるのが最大の強みです。

特に抜歯を伴う症例では、前歯の大きな後退と歯のねじれ改善を同時に行いやすいです。
「抜歯×アンカースクリューでしっかり口元を下げたい」という場合の第一選択となることが多いです。
ただし、マウスピースも進化している
一方で、マウスピース矯正も進化しています。
従来のインビザラインは、抜歯してスペースを確保できても「前歯を大きく下げる力」が弱く、奥歯まで一緒に前に動いてしまうことがありました。

これは先ほどの綱引きの例と同じです。
ロープを引いても、後ろで踏ん張るはずの奥歯が前に引きずられてしまい、本来動かしたい前歯にしっかり力が伝わらなかったのです。
しかし、アンカースクリューとの併用でこの弱点が大きく改善されました。
アンカースクリューを固定源として使うことで、奥歯を動かさずに前歯だけを効率的に後退させられるようになったのです。

その結果、以前はワイヤー矯正でしか対応できなかった症例でも、インビザライン×アンカースクリューで十分な改善が可能になってきています。
以下の動画はインビザラインとアンカースクリューを併用した実際の治療例における歯の動きとなります。
口ゴボ10代女性|抜歯+インビザライン+アンカースクリューで改善(2年3か月・880,000円)リスク:痛み、歯根吸収、後戻りなど(自由診療・個人差あり)
装置選択の目安

重要なのは「どちらが優れているか」ではなく、「あなたの症例に何が適しているか」です。
・横顔の改善や骨格的なずれが大きい場合
→ ワイヤー矯正×アンカースクリューが有利な場合も多い
・中等度までの改善で、目立たない装置をご希望の場合
→ マウスピース矯正×アンカースクリューで対応できる場合が多い
つまり、どちらが良いかではなく、あなたの骨格や歯並びに“合っているか”が重要なのです。
アンカースクリューを用いた口ゴボ改善の症例
口ゴボ20代女性|抜歯+インビザライン+アンカースクリューで改善(2年3か月・880,000円)
リスク:痛み、歯根吸収、後戻りなど(自由診療・個人差あり)
口ゴボと前歯で噛めないことを主訴に来院されました。
叢生を伴う骨格性上顎前突と診断し、上顎両側第一小臼歯と下顎右側中切歯を抜歯。インビザラインにアンカースクリューを併用し、前歯を計画的に後退させました。
治療期間は2年3か月。前歯の突出感が改善され、横顔のバランスが整うとともに噛み合わせも安定しました。
口ゴボ10代女性|抜歯+インビザライン+アンカースクリューで改善(2年3か月・880,000円)
リスク:痛み、歯根吸収、後戻りなど(自由診療・個人差あり)
前歯の出っ張りと口元の突出感を気にされてご相談いただきました。
前歯の傾きによる歯性上顎前突と診断し、抜歯によってスペースを確保しながら歯列全体を整える方針に。インビザラインで前歯の角度と位置を丁寧にコントロールし、2年3か月で自然な横顔と噛み合わせへと。
口ゴボ20代女性|抜歯+ワイヤー矯正+アンカースクリューで改善(2年4か月・880,000円)
リスク:痛み、歯根吸収、後戻りなど(自由診療・個人差あり)
口ゴボと出っ歯を主訴に来院されました。診断の結果、骨格性上顎前突と判断し、上下顎両側第一小臼歯を抜歯。マルチブラケット装置とアンカースクリューを併用し、前歯を後退させる計画としました。
2年4か月の治療で、横顔のバランスが整い、口元の突出感や口の閉じづらさも改善しました。
アンカースクリューを使った口ゴボ矯正の費用・期間目安
| 治療方法 | 期間・費用目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ワイヤー矯正+アンカースクリュー | 約2〜3年 80〜120万円 | 前歯の大きな後退や難症例にも対応しやすい |
| インビザライン(マウスピース)+アンカースクリュー | 約1.5〜3年 80〜130万円 | 透明で目立たず、アンカースクリュー併用で口ゴボ改善も可能 |
※アンカースクリューは1本あたり5,000〜35,000円程度で、2〜4本使用するのが一般的です。
※非抜歯で対応できる場合もありますが、骨格や歯並びによっては「抜歯+アンカースクリュー」が必要になることもあります。
当院のアンカースクリューと矯正の費用について
アンカースクリューの料金(税込)
1本あたり22,000円
当院スマイルアクセス矯正歯科の料金
ワイヤー矯正料金
スマイルアクセス矯正では、白いワイヤーや透明のブラケットなど目立ちにくい装置もご用意しています。
「目立たないなら始めやすい」と、見た目を気にされていた方にも好評です。
| 費用(税込) | |
|---|---|
| 部分矯正 | ¥165,000〜495,000 |
| 全体矯正(メタルブラケット) | ¥880,000 |
| 全体矯正(クリアブラケット) | ¥935,000 |
マウスピース矯正料金
院内で設計するコストを抑えた【独自アライナー】から、世界1,500万件を超える実績をもつ【インビザライン】まで、症例やご希望に合わせて、最適なプランをご提案します。
| 費用(税込) | |
|---|---|
| スマイルアクセス・アライナー(6前歯のみの部分矯正〜臼歯部を含む部分矯正) | ¥385,000〜¥550,000 |
| インビザライン(全体矯正) | ¥935,000 |
追加費用が発生しないトータルフィー制度&分割払いも可能
当院では、治療開始前に治療の総額を提示する「トータルフィー制度(治療費総額制)」を採用しております。
上記料金には、毎月の調整料、治療後の保定装置(リテーナー)の費用もすべて含まれています。
治療期間が予定より延長した場合でも、追加の費用は発生しませんのでご安心ください。
分割払いやデンタルローンにも対応していますので、費用面のご不安もお気軽にご相談ください。
アンカースクリューを使った口ゴボ矯正でよくある質問(FAQ)

Q1. アンカースクリューを使えば、抜歯をしなくても口ゴボは治せますか?
A. 軽度〜中等度の口ゴボであれば、抜歯をしなくてもアンカースクリューで改善できる場合があります。
条件としては、骨格のズレが小さく、あくまで目安ですが、前歯を2〜3mm程度後退させれば十分なケースです。
ただし横顔の印象を大きく変えたい場合や、歯列にスペースが足りない場合は非抜歯では限界があります。
>>抜歯矯正で歯を抜く、抜かないの判断基準とは?矯正医が解説
Q2. 横顔を大きく変えたい場合、やはり抜歯の併用は必要ですか?
A. はい、その通りです。
そもそもアンカースクリューは「スペースを作る装置」ではなく、「作ったスペースを最大限活用する装置」です。
横顔を大きく改善したい場合には、抜歯で7〜8mmのスペースを確保し、アンカースクリューを併用するのが現実的な選択肢になります。
典型的に抜歯+アンカースクリューが必要になるのは、
・横顔のバランス改善を目指す場合(Eラインのバランスを整えることを目指すなど)
・骨格的な要因が強い場合(歯茎ごと前に出ているタイプなど)
このようなケースでは、抜歯とアンカースクリューを組み合わせることで、より大きな変化とバランスの取れた横顔が期待できます。
Q3. アンカースクリューを使わなくても、口ゴボは大きく改善できる場合もあるの?
A. はい、あります。
アンカースクリューはとても有効な装置ですが、必ずしも全員に必要ではありません。
例えば、
・小臼歯を抜歯して十分なスペースを確保できる場合
・歯並びのガタガタ(叢生)が強く、並べる過程で自然に前歯が下がる場合
・骨格のズレが小さく、前歯の傾きや位置を整えるだけで印象が変わる場合
このようなケースでは、アンカースクリューを使わなくても前歯をしっかり後退させて、口ゴボを改善できることがあります。
ただし「どの方法が合っているか」は一人ひとり違うため、精密検査で診断することが欠かせません。
Q4. 抜歯は何本必要ですか?
A. 一般的には上下左右の小臼歯を4本抜歯するケースが多いですが、必ずしも全員同じではありません。
噛み合わせや歯の重なり方によっては、上だけ2本・下だけ1本(正中抜歯)など、パターンが変わることもあります。
大切なのは「どの位置にどれだけスペースを作るか」という診断です。
Q5. アンカースクリューは痛い? 外れたり跡が残ったりしませんか?
A. 局所麻酔で数分の処置なので、軽い違和感が出る程度です。
翌日に軽い違和感が出る程度です。まれに緩むことはありますが、付け直しで対応できます。
撤去後は歯ぐきが自然に治癒し、跡が残ることはまれです。
Q6. アンカースクリューはどのくらいの期間つけておくのですか?
A. 基本的には前歯を下げる治療が終わるまで使用します。
多くのケースでは1〜2年程度。矯正装置を外すより先に外すこともあれば、最後まで残す場合もあります。
Q7. 矯正中だが、思ったほど口元が下がらない…途中からアンカースクリュー導入は可能?
A. 可能です。
途中で固定が不足していると判断された場合、治療計画を再評価してアンカースクリューを追加することがあります。
ただし抜歯設計や治療方針自体を見直す必要があるため、主治医に相談するかセカンドオピニオンを受けるのが安心です。
まとめ
アンカースクリューは、通常の矯正では難しい「前歯を後方へ移動させる動き」を可能にする選択肢の一つです。
ただし、必ずしも全員に必要なわけではないです。
抜歯だけで改善できるケースもあれば、横顔を大きく変えたい場合には「抜歯+アンカースクリュー」が有効になることもあります。
大切なのは、装置の種類ではなくあなたの歯並びや骨格に合った方法を選ぶこと。
気になる方は、まずはご相談を。最適な治療プランを一緒に考えていきましょう。
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「こんなこと聞いて大丈夫かな?」と思うようなことも、どうぞ気兼ねなくご相談ください。
矯正にまつわる不安や疑問には、矯正医が丁寧にお答えします。
もちろん、カウンセリングを受けたからといって、すぐに治療を始める必要はありません。
ご説明を聞いた上で、じっくりご検討いただければと思います。
相談だけOK。無理な勧誘一切なし
>>口ゴボ矯正|一番いい治し方とは?抜歯なしも可能?Eライン基準の落とし穴を矯正医が解説
>>アンカースクリューを使った矯正治療とは?費用・効果・リスクを矯正医が解説

















